
以前ある勉強会で先輩経営者から教えていただいたチェスター・バーナードが提唱した組織の3要素(組織の成立条件)について、経営者側だけじゃなく
社員さんとして働く人にも大切な考え方なので、要約してみました。
まぁサッカーワールドカップを目指すチームが優勝を目指してボールを蹴るのと
ベスト8を目指すのかで、選手間の温度がどれほど変わるのか。
答えは歴然だと思いますが、会社でもこういうことが実際に起こっているので
興味があれば読み進めてみてください。
組織論や経営学を学び始めると、必ずと言っていいほど名前が出てくるのがチェスター・バーナード(Chester Barnard)です。
では、そのバーナードは「組織が成立するためには何が必要不可欠である」と考えたのか?
それが、組織の3つの要素(共通目的・貢献意欲・コミュニケーション)です。
なんだ昔の人が言った哲学や精神論かと思う人には刺さらないかもしれません(‘ω’)
組織の3要素を見ていく前に、なぜバーナードがこの理論を提唱したのか。
バーナードが生きた時代(20世紀前半)、企業などの組織は「トップダウンの命令が絶対の機械のようなもの」として捉えられていました。まぁ今でもワンマン社長は沢山存在しますので、似たような所でしょうか。
上司が命令し、部下がそれに従う。シンプルですが、これでは人間の感情や自主性が無視されてしまいます。だから僕は意図の無い指示やエゴでは仕事を頼みません。
で、実業家・経営者としての豊富な現場経験を持っていたバーナードは、「組織の主役は人間であり、組織は個人の協力なしには成り立たない」ということに気づいたそうです。
彼は、組織を「2人以上の人々の、意識的に調整された活動や力のシステム」と定義し、「個人がなぜ組織に参加し、協力し続けるのか」を科学的に分析しました。
その結果として導き出されたのが、次の3つの要素です。
バーナードによれば、どんな組織(企業、NPO、サークル、プロジェクトチームなど)であっても、以下の3つの条件がすべて揃っていなければ、成立しませんし、維持することもできません。
【意味】
組織に属するメンバー全員が共有している「目指すべきゴールや目的」のことです。
【詳細解説】
ただ人が集まっているだけでは、それは「組織」ではなく単なる「群れ」です。
例えば、街頭で偶然すれ違った100人は、同じ場所にいますが組織では無いのと同じです。
スポーツを応援する側の人達は同じ空間で同じ共通目的があるって事です。
組織になるためには、「私たちは何のためにここに集まり、どこを目指すのか」という共通の認識が必要です。 企業であれば「理念」「ビジョン」「今年の売上目標」「新商品の開発」などがこれにあたります。
ここで重要なのは、「メンバー一人ひとりがその目的に納得し、共有できているか」という点です。経営陣だけが知っている秘密の目標では、組織の共通目的としては機能しません。
【具体例】
【意味】
共通の目的に向けて、「自分の力や時間を貸そう(協力しよう)」という個人の意志・モチベーションのことです。
【詳細解説】
いくら素晴らしい「共通目的」があっても、「私は手伝いたくない」「自分の自由な時間を使いたくない」とメンバー全員が思っていたら、組織は崩壊します。
仕方無く働きに出て、時間が来たら帰宅する人達です。
ここでバーナードが指摘した非常に有名な概念が、「誘因(インセンティブ)と貢献のバランス」です。 人間は、組織から何らかの「見返り(報酬、やりがい、成長、名誉、安心感など)」を得られるからこそ、自分のエネルギーを組織に「貢献」します。
僕は特に後者の自己成長の機会を大事にしています、給料を上げたくないとかそんな短絡的な動機ではありませんので、一応補足しておきます。
なぜか、外発的モチベーションと内発的モチベーションはどちらが長持ちし
どちらが本来の人が持ち合わせたものかと考えた結果、ある方も同じことを発言している人がいました。
前澤友作氏です。
人はもし物が自由に手に入る状況やお金に価値が無くなった時に仕事をしなくなるのか?
これ実は人は無償でも人の為に時間を使い、誰かの為に労働できるそうです。
だから内発的モチベーションなのです(*’▽’)
バーナードは、「個人が組織に与える貢献」と「組織から個人に与える誘因」のバランスが取れてはじめて、貢献意欲が維持されると考えました(これを「誘因・貢献均衡論」と位置付けています)。
【具体例】
【意味】
メンバー同士が意思疎通を図り、情報を共有し合う手段のことです。
【詳細解説】
「共通目的」があり、「貢献意欲」を持つ人が集まっても、お互いに意思疎通ができなければ、組織として機能しません。右に行きたい人、左に行きたい人がバラバラに動いてしまい、エネルギーが分散してしまいます。
コミュニケーションによって、
を伝え合うことができます。
バーナードは、コミュニケーションが途絶えた瞬間、組織は消滅すると考えました。
そのため、経営者やリーダーの最も重要な仕事の一つは、組織内のコミュニケーション経路(ルート)をデザインし、円滑にすることであると説いています。
【具体例】
これら3つの要素は、どれか一つが欠けても組織は成り立ちません。イメージとしては、「3本の柱で支えられたテント」のようなものです。
例えば、いくら社員のモチベーション(貢献意欲)が高くても、コミュニケーションが全く取れないブラックボックスのような職場では、プロジェクトは成功しません。逆に、コミュニケーションが盛んで目的があっても、そこに「給与が出ない」「やりがいもない」となれば、誰も貢献しようとしなくなります。
組織が生き残り、成長し続けるためには、常にこの3つのバランスが保たれているかをチェックする必要があります。
チェスター・バーナードが『経営者の役割』を出版したのは1938年ですが、約90年経った現代のビジネスシーンや働き方改革、リモートワークの時代においても、この「3つの要素」は驚くほど通用します。
現代における組織づくりのヒントを見てみましょう。
テレワークや在宅勤務が普及した現代、以前よりも「コミュニケーションの量と質」が低下しがちです。雑談やちょっとした相談が減った結果、組織への帰属意識が薄れ、離職につながるケースが後を絶ちません。これはまさに、バーナードが指摘した「コミュニケーションの断絶による組織の弱体化」の典型例です。
近年、企業の「パーパス(存在意義・共通目的)」が盛んに叫ばれています。ただ利益を追求するだけでなく、「この会社は何のために社会に存在するのか」という大義名分がなければ、特に若い世代(ミレニアル世代・Z世代)の「貢献意欲」を引き出すことが難しくなっています。
終身雇用が揺らぎ、働き方が多様化した今、企業は社員に対して「単なる給与(物質的誘因)」以上の価値(心理的安全性、キャリア形成の機会、働きやすさなど)を提供しなければ、優秀な人材を維持できなくなっています。
自分の会社は「その場所自体が自己成長の環境」と思って働いてくれるのが
理想であり、そういう社員さんが沢山いる状態が僕のビジョンです(*’ω’*)